大人の受け口(上下反対の噛み合わせ)治療
受け口はどのような症状なの?
上の前歯が下の前歯の後ろ側にある状態です。矯正臨床診断名は反対咬合や下顎前突症といいます。
どうして受け口になってしまうの?
上の前歯が生えてくるときにたまたま舌の前歯の後ろ側に傾いて生えてきたことが原因の場合と、遺伝子的要因が大きいのですが骨格的に下顎が上顎よりも前方に成長したことが原因の場合と、その両方が原因の場合があります。
どういって治療法が適しているの?
歯が傾いて生えてきたことが原因である場合はマルチブラケット装置で治療するのが一般的です。叢生の治療と同様にセラミックブラケットやホワイトワイヤーを用いると目立ちにくいですが、どうしても人に知られたくないのであれば裏側からの治療(インコグニート)やインビザラインやアソアライナー(マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置)で治療することだ出来ます。
成人の受け口の症例をご紹介します。
大人受け口(顎変形症) 28歳、男性 | |
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主訴 | 下顎が出ているのが気になる |
検査 | セファログラム分析より下顎骨の前方位および下顎前歯の舌側傾斜が認められた。 |
治療計画 | 骨格的要因が大きい症例のため顎変形症と診断。保険適応となり上下顎同時移動術を併用する矯正治療を行うこととした。マルチブラケット装置にて治療を行った。 |
経過 | 下顎前歯歯軸の改善および手術直後の緊密な咬合状態の獲得を目的に術前矯正治療(1年3か月)を行ったのち上下顎同時移動術の手術を行った後(入院7日)術後矯正を1年行い保定を開始。現在も咬合は安定している。 |
開始
1年3か月オペ直前
オペ直後(入院7日)
2年3か月後
大人受け口(上下小臼歯抜歯) 24歳、女性 | |
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主訴 | 上の前歯の凸凹が気になる |
検査 | 模型分析より右臼歯の交叉咬合および右側中切歯の反対咬合が認められ、アーチレングスディスクレパンシー(歯列周長に対する歯の大きさの総和差)が著しく大きかった。セファログラム分析より下顎の前方位および下顎前歯の舌側傾斜が認められた。 |
治療計画 | 歯の排列するためのスペース獲得のために、上下左右第一小臼歯を抜歯し、マルチブラケット装置にて治療を行う。 |
経過 | 1年8か月で歯の排列が終了したため、マルチブラケット装置を撤去し、保定を開始した。現在も咬合が安定している。 |
開始
開始後6ヵ月
開始後9ヵ月
開始後1年8ヵ月
成人の受け口の矯正に関する無料カウンセリングを承っています。
永久歯の上の前歯が生えてくる小学生低学年の時に、歯の傾きを改善したり、上顎の前方への成長を促すことで受け口の程度が軽減することがほとんどですが、下顎の成長を抑制することは顎関節症を引き起こす可能性が大きいため当院では行っていません。成長が終わる高校生の時まで経過観察をしてから、精密検査を行い、分析に基づいた、現在の状態の原因に対する治療方針を患者さんの御希望に合わせた提案を行っております。