子供の受け口(上下反対の噛み合わせ)の治療について

受け口はどのような症状なの?

反対咬合ともいい、上の前歯よりも下の前歯が前にあるかみ合わせです。上の前歯が内側に傾いているか、上あごが小さく下顎が大きくより下顎が前の位置にある状態です。

どうして受け口になってしまうの?

上の前歯が内側に傾いているか、上あごが小さく下顎が大きくより下顎が前の位置にあるか、それとも二つともの要素が原因になっていることもあります。上の前歯が傾いていることに関しては環境的な要因で咬むときに下の前歯が上の前歯にあたって下顎を前にずらして咬まないと奥歯で咬めないため、咬むたびに下顎が前にずらされてしまっている状態になっています。上顎が小さいことや下顎が大きくて前の位置にあることは遺伝子的な要因が大きく、お子様が持って生まれたものです。

乳歯のみの歯並びのときの反対咬合は咽頭扁桃(アデノイド)や口蓋扁桃が大きいと気道を大きくするために下顎を前に出して呼吸するのが楽なために習慣になって咬みちがいがおこることがほとんどです。しかし小学生になると全身の免疫機能が発達し喉の奥の扁桃が小さくなるので顎を前に出す癖もなくなり前歯が永久歯に生え変わるときに自然に改善することがあるので、まだ治療時期ではありません。

ただそれでも上の前歯が生えてくるときに内側に生えてこようとしていれば重なりが大きくなる前の方が治療期間が短くなり、複雑でない装置を使用することでお子さんの治療負担が少なくなります。

どういった治療法が適しているの?

寝る時に使用するマウスピースタイプの装置で前歯の伸び具合によって使用する装置が変わってきます。上の前歯の生え始めのときには、プレオルソⅢ(写真)という装置を使用し舌や唇の非常に弱い力を使って上の前歯が下の前歯よりも前に生えてくるように誘導します。

6か月程度使用しても改善しない場合はプレオルソⅢでの力では弱すぎると判断して、ポステリアルバイトプレート(写真)を使用します。裏側からの針金で上の前歯を前に移動する力を加えることで、前歯のかみ合わせを改善します。また上顎が小さいことが伴っているときは装置に拡大の機能を追加したり、上顎の位置が後ろの場合は上顎前方けん引装置を用いて成長を誘導する治療法が必要になってくることがあります。

どの装置もメリットとしては取り外しで夜寝る時のみの使用でいいので学校にしていかなくてもよかったり、装置を使うことによるむし歯のリスクが大きくなるということはありません。また痛みがほとんどないこともお子様に負担が少ないといえます。デメリットは使用しないと効果がないということです。どうしても取り外しの装置が使用できないお子様は上顎の裏側に装着する固定式の装置もあります(歯みがきを頑張る必要があります)のでお子さんに合わせた装置を提案いたします。

詳しくは顎変形症へ

子供の受け口の症例をご紹介します。

6歳、男性
主訴 前歯が反対なのが気になる
検査 セファログラム分析より上顎前歯の舌側傾斜と下顎の前方位及び模型分析より上顎歯列弓の幅が狭い
治療計画 拡大床(ポステリアルバイトプレ―トタイプ)にて上顎の歯列弓幅径の拡大と上顎中切歯の唇側への改善をはかる(1年程度)。
経過 上顎中切歯の改善後側切歯が舌側傾斜して萌出してきたのでマルチブラケット装置を6ヵ月程度装着して、反対咬合の改善を行った。現在永久歯に交換終了まで経過観察中。

開始時

開始時

開始時

2年後

6年後

7年後

1年2か月後

1年2か月後

9歳、男性
主訴 前歯が一本反対なのが気になる
検査 セファログラム分析より右上中切歯の舌側傾斜および下顎の前方位が認められる。模型分析より上顎歯列弓の幅が狭い。
治療計画 弾線を付与した拡大床にて右上中切歯の傾斜の改善および上顎歯列弓幅径の拡大をはかる。
経過 装置装着後1か月で右上中切歯の被蓋が改善。その後上顎歯列弓の拡大を行いスペースが確保できた時点で永久歯交換の経過観察中。

開始

開始

開始

開始

1か月

1か月

1か月

1年2か月

1年2か月

1年2か月

受け口にならない予防策はあるの?

ひと昔前では割り箸を噛んで上の前歯を前に動かすといいと歯医者さんもアドバイスをしていましたが、強い痛みが生じたり、前歯の歯根が短くなってしまったり、曲がってしまったりするということが起きて、お子さんに負担をかけてしまうことになるため、最近は歯並びの専門の先生に適切な治療方針を提案してもらい、生えかわりの管理をするようになってきています。

上の前歯の傾きによって下顎が前にずらされてしまうと、下顎の成長の旺盛な時期であれば下顎の前方向への成長が促されてしまいますので、適切な時期に改善する必要があります。(乳歯列では下顎の成長にほどんど影響がありません)

ただ、ご家族で骨格性の反対咬合の方がいらっしゃると、女性だと高校生になったとき男性だと高校卒業するまで身長が伸びるため下顎も成長するため、最終的な歯並びを100点にする第二期治療を行うのはその時期が安心して治療方針を立てることができます。骨格的な下顎の成長の量に関しては遺伝子的な要因が大きいためです。お子様のうちに下顎の前の成長を促されてしまう要因を取り除き、将来見込まれる下顎の成長に合わせた上顎の成長を促すことによって、上顎と下顎の骨格的なギャップを少なくすることにより、下顎の成長が終わると判断したときに歯並びの状態が気にならないのでしたらそこで終了してもよいですし、歯のみの矯正治療でかみ合わせを改善する可能性が大きくなります。

たとえ骨格的な要因が大きくて顎変形症の治療をすることになっても上顎と下顎の骨格的なギャップが少なければ治療の難易度も低くなり、治療期間や後戻りのリスクなどの点でお子様の負担が少なくなります。