子供の過蓋咬合(噛み合わせが深い)の治療について

過蓋咬合はどのような症状なの?

奥歯をかみしめた状態で上の前歯が下の前歯を過剰に覆いかぶさっている状態が過蓋咬合で、ディープバイトなどと言ったりもします。舌の前歯が全く見えない、上の前歯の裏側の根元にあたるといったことから、顎の動きに制限が加わり顎の関節に痛みが生じたり、咬むたびに歯茎を刺激し、歯肉炎になったりする症状に移行することがあります。

どうして過蓋咬合になってしまうの?

子供の過蓋咬合は上顎に対して下顎が後方にあることにより下の前歯が伸びだすことによりおこったり、乳歯の奥歯をむし歯などで早期に失ったときに咬む力に耐えきれず奥歯が沈んだり十分に伸びてこなかったりすることが原因として考えられます。

どういった治療法が適しているの?

夜寝る時に使用するマウスピースタイプの装置で下顎の前方への成長を誘導し骨格的なバランスを整えながら、さらに奥歯を適切な位置まで伸ばすことにより、正常な前歯の重なり合う状態(上の歯が下の歯の1/4程度、3mm程度覆うくらい)を獲得します。

下顎の成長をスムーズに誘導すために装置にネジを組み込んで、少しずつ(1か月に0.3mm程度)拡大していく機能を追加することもあります。夜寝る時に使用することで学校でも気づかれず、数か月に1度会う親戚の方に築いたらいい歯並びになったねと指摘されたということを親御さんから聞くことも珍しくありません。

ただ取り外し可能な装置であるため、たまにしか使用しない状態だと効果が出ないため、お子様に自発的に楽しんで使用していただくために、当院ではカラフルな装置の中からお気に入りの装置の色を選んでもらうことや、装置チェック表(写真)に記載していただくことで、達成感を覚えてもらうことで習慣づけていただいてます。

最初のうちは違和感があり、寝ているときに無意識のうちに外してしますことがあるのですが、朝外れている日は学校から帰ってきてから家で起きている時間はめておくことで違和感が少なくなり、朝まで入っている日が多くなっていきます。

子供の過蓋咬合の症例をご紹介します。

7歳、女性
主訴 出っ歯と下の前歯の凸凹が気になる
検査 セファログラム分析より下顎の後方位及び模型分析より歯列弓の幅が狭い
治療計画 バイオネータにて下顎の前方への成長誘導を行い(2年)、拡大床にて歯列弓幅径の拡大をはかる(1年程度)。
経過 骨格的な上下顎の前後的な位置関係を整えた後、叢生を解消するため拡大床へ移行した。現在永久歯に交換終了まで経過観察中。

開始時

開始時

開始時

2年後

2年後

2年7か月後

2年7か月後

過蓋咬合にならない予防策はあるの?

そのままにしておくと、上の前歯も伸びだしが大きくなりすぎて、いわゆるガミースマイルの状態になる可能性があります。伸びだした前歯を沈めるのはマルチブラケット装置を用いても時間がかかりますし、程度によっては歯茎を切るといった外科的な処置が必要になってくることもあります。

また、食べ物を食べるたびに下顎が後ろに抑え込まれてしまうため、自然な下顎の前方への成長も妨げられ、顎の関節にも負担がかかり、痛みが出たり顎が空きにくくなったりする症状へつながることもあります。お子様が笑ったときに下の前歯が見えないということに気づかれた方は、一度相談されてみてはいかがでしょうか。